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更新日2024年04月26日

RankBrain(ランクブレイン)とは?仕組みや役割、検索エンジンとSEOへの影響

甲斐龍之介

SEOツール「Nobilista(ノビリスタ)」の事業責任者。株式会社IIPにて取締役兼SEO担当者。中小企業庁が設置した経営相談所、福岡県よろず支援拠点にてSEOコンサルタントとしても活動

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RankBrain(ランクブレイン)とは、Googleが2015年に導入した検索アルゴリズムです。

AIを活用することで、検索キーワードの向こう側にある、ユーザーの検索意図や隠れたニーズまで拾えるようになりました。
その結果、ユーザーが知りたかった情報を、より正確に表示できるようになったのです。

現在では検索順位を決める大きな要素になっており、Webサイトを運用する上で、RankBrainへの理解は欠かせません。

しかし、RankBrainが導入されてまもなく10年が経過しますが、その知名度は決して高くはないでしょう。
そこでこの記事では、RankBrainの仕組みBERTの違いSEOに与える影響や注意すべき点などを詳しくご紹介いたします。

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Googleアルゴリズムとは?仕組みやランキング要因、アップデートの歴史を解説

RankBrain(ランクブレイン)とは

RankBrain(ランクブレイン)とは、Googleが2015年に導入した検索アルゴリズムです。
RankBrainは機械学習型の人工知能(AI)システムで、Googleの検索技術において画期的なものでした。

そのポイントは「検索意図を解釈」することにあります。

  • ユーザーの所在地、検索傾向、行動パターン、履歴データなどが参照される
  • 過去に検索された事のないクエリでも結果を返せる
  • あいまいなクエリでも結果を返せる
  • 真の検索意図を推測できる。

その結果、仮に検索キーワードが含まれていないコンテンツでも、関連性が高いと判断されれば検索結果に表示されるのです。

検索意図とは?分類や調べ方、分析に役立つSEOツールを紹介

GoogleがRankBrainを導入した背景

RankBrainが導入される前の検索技術は、検索に使われたキーワードが絶対的な存在でした。
そのキーワードが使われているページを対象として、コンテンツ(内部要因)や被リンク外部要因)の質や量を踏まえた上で、ランキングが決まっていたのです。

しかし現実的には、キーワードの使われ方には幅があり、必ずしも一様ではありません。
例えば、「ダイエット やり方」「体重 落としたい」「痩せる 簡単」という検索ワードを考えてみましょう。
これらは、全て異なるキーワードの組み合わせになっていますが、ユーザーが求めている情報には大きな共通項があるでしょう。

ならば、「体重 落としたい」で検索したきた人の結果画面に、「ダイエット やり方」で構成されたコンテンツを出しても良い訳です。
仮にそのページに「体重 落としたい」というキーワードが、全く含まれていなくても、です。

実際、全検索数の中で1割以上は、過去に検索されたことのないキーワードの組み合わせになっているとも言われます。

私たちは毎日何十億もの検索を目にしていますが、それらのクエリの15%はこれまで見たことのないものです

Google公式ブログ:パンドゥ ナヤック(Google フェロー兼検索担当副社長)

キーワードを絶対視するのではなく、その裏に隠れた真の欲求を読み解くために、RankBrainが開発されたのです。

更に、現在では音声認識技術が向上したことで、口頭で検索する場面も急増しました。
そうした検索では、キーワードの使い方が更に曖昧になりがちで、話し言葉での入力も増えるでしょう。
そのため、検索意図を正しく捉えられるアルゴリズムがいっそう重要となっています。

RankBrainが機能する仕組み

機械学習型の人工知能であるRankBrainは、膨大なデータを学習することで機能を発揮するのが特徴です。
この学習は「トレーニング」と呼ばれ、ユーザーの情報(所在地、検索傾向、行動パターン、履歴データなど)が加味されます。

ユーザーがどのページにアクセスし、そこにどの程度の時間滞在したかなども重要なデータです。
それにより、検索クエリに相応しい検索結果が何なのかを測定できるようになります。

極論を言えば、検索クエリとコンテンツの内容に直接的な関係がなくても、クリック率滞在時間がなぜか飛び抜けたページがあれば上位表示されるでしょう。

また、検索クエリとコンテンツの関連性は、必ずしも永続的とは限りません。
例えば、2020年に「オリンピック」と検索したら、「東京オリンピック」関連のページが上位に出るでしょう。
しかし2024年に「オリンピック」と検索したら、「パリオリンピック」関連のページが増えるはずです。

また、その2024年に「東京オリンピック 次」で検索したら、どうでしょうか?
実際の検索結果は下記の通りで、「パリオリンピック」に関連した情報も表示されます。

キーワードが前提だったRankBrain以前なら「東京オリンピック」に関するページが並ぶ所です。
しかし検索技術の進化により、キーワードとは一致しないページも出てくるようになりました。
「ユーザーが知りたいのはパリオリンピックのことだ」と、推測できるようになったからです。

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RankBrainとBERTの違い

Googleが提供している新時代の検索技術に「BERT」と呼ばれるものがあります。
いずれもAIをベースとしていますが、下記のような違いがあります。

  1. RankBrain
    自然言語での検索に対応し、キーワード以外の要素も踏まえてランキング
  2. BERT
    自然言語への対応をさらに進め、曖昧さや文脈上のニュアンスまで踏まえてランキング

登場したのはBERTの方が後ですが、RankBrainの後継という訳でなく、補完し合って互いに現在まで使われています。

RankBrainの特徴

RankBrainは、2015年の10月に導入されました。
検索に使われたキーワードと他のキーワードを結びつける機能に優れています。

例えば、先ほどのように「東京オリンピック 次」に対し、「パリオリンピック」に関する情報も返すということです。
言わば、検索ワードの置換と言えるでしょう。
これにより、過去に検索された事がない検索クエリに対しても、過去の蓄積から的確な結果を返せます。

また同じ「パリオリンピック」でも、開催中に現地で検索したら会場までの経路案内が出てくる一方、日本で検索した人にはテレビの放送日程などが優先される可能性が高いでしょう。

同義語を同じ言葉として認識してくれるのも特徴です。
例えば、「Webサイト」「WebSite」「ウェブサイト」「ホームページ」などは、基本的に同じ意味を持つ言葉として解釈されます。
全く同じ検索結果にはなりませんが、用語が違うからと言って、根本的に評価が変わることがありません。

書き方によって検索結果が左右されにくいため、制作側に取っては、過度に表記で悩む必要が減るのもメリットです。

BERTの特徴

対してBERTは、「Bidirectional Encoder Representations from Transformers」の略で、2019年に導入された検索技術です。

BERTでは自然言語処理(NLP)技術が採用され、口語体への対応が飛躍的に強化されました。
検索に使われた単語の、前後の関係性を正しく解釈できるのが特徴です。

例えば、「ブラジルの旅行者がアメリカに行く時にビザは必要?」という検索ワードに対し、従来の検索技術では「ブラジル 旅行者 アメリカ ビザ」とキーワードで解釈します。
その結果、「アメリカ人がブラジルに旅行する場合」の結果を返すことがありました。

しかし文脈を正しく捉える機能に優れたBERTでは、ユーザーが真に知りたい情報を捉え、正しく結果を返せます。

出典:Google公式ブログ:パンドゥ ナヤック(Google フェロー兼検索担当副社長)

特に音声入力では、対話形式で端末とやり取りする場面が多いため、BERTの必要性が高まるのです。

RankBrain導入による検索エンジンへの影響

RankBrainが導入されたことで、検索エンジンには下記のような影響が出ました。

  • Googleの検索結果全体に対し、品質の向上を促すことになった
  • 特に検索数の少ないロングテールキーワードでの回答精度が高まった
  • 検索精度が向上したことで、モバイル端末への対応E-E-A-Tにおける経験性の追加など、キーワード以外の改善に積極的になった
  • Googleが採用している各種のランキング要素の中でも、RankBrainの占める割合が大きくなった
  • 検索結果から低品質のサイトが減ることで、ユーザーの満足度が高まった

導入による副産物とこれから

RankBrainの導入は2015年でしたが、上記のような影響が早期に確認されました。
そうした経緯から、機械学習型のAIによる技術開発に更に拍車がかかります。

Google自身、4年後にはBERTを追加投入するに至りましたが、技術進展は単純な検索用途のみでは終わりません。
2020年代に入ると多くのIT企業が開発から実用化に走り、2022年末に公開されたChatGTPが全世界的にブレイクするに至りました。

当初3.5で公開されたバージョンも2023年に4へと進化し、精度の向上には目を見張るものがあります。
RankBrainの約10年後の世界では「情報を得るためにWebサイトに行く」という行動自体が、意味のないものになりつつあるのです。

RankBrainは、検索エンジンに飛躍的な進化をもたらしました。
しかしそれは検索エンジンの首を締める、諸刃の剣の始まりでもあったのです。

とは言え、ChatGTPなどの自動生成AIが作る文章は、基本的にWebサイトなどから得た情報を切り貼りしたものです。
情報から推測して新規に作成される部分もありますが、Googleが重視する経験性や権威性などでは、既存のWebコンテンツには対抗できません。

更に、AI導入の先駆けであるGoogleでも新しいAI技術の開発は最優先の緊急課題とされています。
その結果が反映され、大いに巻き返す可能性も十分あるでしょう。
いずれにしても、RankBrainの導入により、検索エンジンの世界は新しい段階に進んだと言えます。

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RankBrain導入でSEO対策のやり方は変わる?

RankBrainはGoogleの検索結果(SERP)に大きな影響を与えます。
Webサイトの担当者は、RankBrainの影響を考慮した上でコンテンツを作成・運用しなくてはなりません。

重要になってくるのは、下記のような認識です。

  1. ユーザーファースト&コンテンツファースト
  2. 検索クエリと関連性の高いコンテンツ
  3. 小手先のキーワード対策は不毛
  4. ロングテールのキーワードを意識

これらを意識し、WebコンテンツをRankBrainに最適化することが重要になってきます。

しかし、実際に行うことは、従来と比べて大きな違いはありません。
「ユーザーが求めている情報と関連性の高い内容のコンテンツを作る」ということです。
それを極めれば、結果的にRankBrainに最適化していく対策になるでしょう。

ユーザーファースト&コンテンツファースト

SEOで犯しがちな間違いは、検索エンジンからの評価のみを気にしてコンテンツを作成してしまうことです。

いくら需要のあるキーワードを使い、クローラーが読みやすいような構成を作っても、肝心のユーザーが読みにくいページになっていたら意味がありません。
Googleも公式ドキュメントで「ユーザーの利便性を重視しているサイト」を評価すると書いています。

実際、結果画面でクリックされてページにアクセスしても、すぐに離脱してしまうようなサイトは評価が下がります。
単に言葉だけの問題ではなく、文字のサイズや色を含めたデザイン性、画像や動画の使い方なども評価の対象です。

勿論、ページが表示されるまでの時間や、スマホでの読みやすさや使い勝手も欠かせません。
目次の設置や関連ページへの内部リンクなども、ユーザーの利便性に繋がります。

検索クエリと関連性の高いコンテンツ

良質なコンテンツとは、ユーザーの検索意図にしっかり応えているものです。

RankBrain以前は、キーワード対策が全てでした。
ユーザーが入力したキーワードを前提に、それに関連する情報を提供する訳です。
しかしRankBrain以後は、その前提が特定のキーワードに限定されなくなりました。

先ほどの例では、2024年に「東京オリンピック 次」で検索したら、「パリオリンピック」に関する情報も表示されます。
従来ならば、パリオリンピックの記事を書く時は、その事に集中すれば良かったでしょう。

しかし実際には、異なる検索キーワードが使われた場合でも、検索結果に出る可能性が増えたということです。
であれば、「パリオリンピックは東京オリンピックの次の大会である」という情報も入れておく方が得策でしょう。

キーワードだけではなく、裏側にあるユーザーの欲しい情報、検索意図に考えを伸ばす必要があります。

良質なコンテンツとは何か?Googleの定義や作り方のポイントを解説

小手先のキーワード対策は不毛

キーワード対策はSEOの根幹です。
しかし、過度のキーワードの詰め込みは、初期の頃から良くない手法(ブラックハットSEO)として認識されてきました。

今でも「キーワードさえ入れれば何とかなる」という考え方は残っていますが、年々、効果は薄れています。
それはRankBrainの登場により、本当に重要なキーワードや、その組み合わせの見極めが進化しているからです。
小手先のキーワード対策をするのではなく、コンテンツの品質向上に取り組みましょう。

また、RankBrainは先ほども説明しましたが、同義語の見極めが格段に向上しています。
それもあって、小手先のキーワードに拘る必要性が少ないのです。

例えば、「Webサイト」「WebSite」「ウェブサイト」「ホームページ」の中でどれを使うか、検索エンジン向けに悩む必要は大きくはありません。
どのキーワードで検索されてもいいように、見出しごとに表記を変えて「Webサイト」「WebSite」「ウェブサイト」「ホームページ」を全部使い切る、なんていう対応も不要です。
逆に表記がバラバラになって、ユーザーの読みやすさを阻害してしまいます。

それよりも「ユーザーファースト」の観点から、対象としているユーザーがどのキーワードを一番使うかで判断しましょう。

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ロングテールのキーワードを意識

RankBrainは全ての検索クエリに対して適用されますが、中でも効果が高いのは、やはりロングテールのキーワードでしょう。

殆ど検索されることのないキーワード(ロングテール)に対しても、RankBrainは関連性の高いページを探し出して検索結果に引っ張り出します。
そのため、ニッチなキーワードに応えているコンテンツに日が当たる可能性が増えるのです。

検索数が多いビッグワードは「ダイエット」「SEO」など、検索意図が漠然としています。
それに対しロングテールキーワードは、検索数は少ないものの、「ダイエット 太もも おすすめ サプリ」「SEO 内部リンク WordPress プラグイン」など検索意図が明確です。

また、手動でキーワードを打ち込む従来の検索方法に比べ、音声で話しながら検索させる方法ではキーワードが漫然と散らかりがちになります。
結果、前にも増してキーワードがロングテール化して、それに正しく応えるコンテンツが少くなる可能性もあるでしょう。
そのため、ロングテールキーワードを意識したコンテンツ作成に意味が出てくるのです。

ロングテールキーワードの選び方とは?SEO上のメリット・デメリットや見つけるのに役立つツールを紹介

RankBrainの重要性は3番目?

RankBrainは確かに検索順位の決定に関わる重要な指標ですが、もちろん、それが全てではありません。
Googleはかつて「RankBrainの重要性は3番目」だというコメントを発しました。

まず重要なのは、ユーザー体験などを含めた、コンテンツ自体の優良性です。
次いで、外部からの被リンクの質と量。
そして、RankBrainという順番で考えましょう。

ただし、Googleが「3番目」と評したのは数年前で、後に訂正もされました。
検索クエリなどの条件によって、重視される要素は一定ではないという理由です。
また、広く見れば、既にコンテンツ評価とRankBrainは一体化しているとも言えるでしょう。
過度にRankBrainを意識して、他の要素が疎かになってしまっては本末転倒です。

RankBrainへのSEO対策まとめ

RankBrainへの対策を総合すると、以下のようにまとめられます。

  • ロングテールのキーワードを意識する
  • その裏にある検索意図と関連性の高いコンテンツを作る
  • ユーザーの利便性ファーストで提供していく

既に上位表示されているページでも、実は想定したキーワードではなく、思いもよらない検索意図で評価されているかもしれません。
そこには、ロングテールキーワードが関わっている可能性も高いでしょう。

対策を進めるには、普段からのキーワード順位の計測が欠かせません。
しかし、365日手動で記録していくのは大変です。
自動でキーワード分析まで行ってくれるツールを使うのが得策でしょう。

例えば、クラウドで稼働するキーワード分析ツールの「Nobilista(ノビリスタ)」なら、365日自動で情報を記録します。

キーワードごとの順位変動の推移が視覚化され、どのように評価されているかも分かるので、ぜひ活用してください。

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